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JMC修了生を訪ねて

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社員教育の重要性を学んだJMC
ヒトづくりの理念は“共に育む=共育”
 
松下千鶴氏松下京氏
アイ・エス・シー工業株式会社(神戸市垂水区) 
代表取締役 松下千鶴氏(JMC45期)
専務取締役 松下 京氏(JMC44期)
 アイ・エス・シー工業は創業以来、「豊かな生活を支える」製品づくりに取り組んできた。ルームエアコンの架台から太陽光発電の架台や薄型テレビの壁掛け金具と、常に時代ニーズに適合したモノづくりに携わり、新しく豊かな生活の実現に貢献している。なかでも設計力を活かした特注品の製作には定評がある。
 そして2代目として同社の舵取りをするのが、松下千鶴社長と松下京専務の姉弟である。2人は13年前の1992(平成4)年に相次いでJMCを受講。共通の思いを胸に会社に戻り、いま経営者として活躍している。
本社 兵庫県神戸市垂水区下畑町神ノ脇429-1
TEL 078-753-0001
設 立 1963(昭和38)年
代表者 松下千鶴
社員数 15名
事業内容 エアコン・太陽光発電パネルの架台、薄型テレビの壁掛け金具等の設計・製作
URL http://www.isc-kobe.co.jp
 

2代目は全社員の組織力で勝負

 「JMCを受講したとき、『これからの日本で一番重要なのは教育だ』といわれたのをよく覚えています」と語るのは松下千鶴社長。そして、社長を支える弟の松下京専務もまた、「JMCは社員教育の大切さを意識するきっかけとなりました」と語っている。
 ヒトづくりに目覚めた2人が本格的に社員教育に取り組み始めたのは3年前の2002(平成14)年。松下社長が新社長として、社内でTQM(総合的品質経営)運動を始めたときである。創業者である父から会社を引き継ぎ、後継の経営者となった松下社長は、「先代とは違う経営手法を取らなくてはいけない」と感じたという。
 創業者は特有のカリスマ性をもっている。そして、強力なリーダーシップで全社員を引っ張っていく。しかし、2代目が同じ経営手法をとることは難しい。会社を成長、発展させていくには社長個人の力に依存するだけではなく、組織力を高め、全社員が一丸となって力を発揮できる体制が求められる。組織力向上のためには、社員個々の能力アップが欠かせない。
 「“教え育てる=教育”という言葉を、“共に育む=共育”と言い換えて考えています。社長も社員から教わることがたくさんあります。皆が先生であり、生徒です」と、松下社長は同社のヒトづくりの理念を語っている。
 実際に長年会社にいる松下社長や松下専務の気づかない点を社員が指摘してくれることも多い。社員の指摘で現場の要らないものがわかり、整理整頓が進んだという。
 また社員への接し方で気を配っているのが、ほめること。もちろんむやみにほめるわけではない。改善点を提案・実践したり、作業効率がアップしたりと、はっきりとした理由があるときはほめる。大切なことは自分たちの努力したこと、頑張っている姿を社長が見ていると社員に感じてもらうことだ。
 「JMCで山本五十六の『やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ』の言葉を教わりましたが、私は最後のところは“人は動かじ⇒人は育たじ”だと解釈しています」と、松下社長はヒトづくりにおけるほめることの重要性を説いている。
 同社は毎期スローガンを掲げている。前々期が“挑戦”、前期が“更なる挑戦”、そして今期が“自立”である。2期続いた“挑戦”から“自立”へ。その狙いは何か。
 「前2期で社員は問題を課題として捉えられるようになりました。問題を見つけるだけでは評論家です。必要なのは課題を解決できる実践家です。今期はさらに一歩進んで、自分から学んで、自ら伸びていける自立型社員を育てていこうとスローガンを決めました」(松下社長)。組織力向上に向け、まずは全員で会社の課題を抽出し、その解決に全力投球した。そして、次は社員のもう一段高いレベルアップを図り、会社の発展を狙う。

父と手法は異なるも 共通の目標に進む

 「先代は昔ながらの背中を見て覚えろというタイプで、自分から教えることはなかったし、あまりほめることもありませんでした」と松下専務が語るように、2人は創業者の父とはまったく異なる手法をとっている。
 結果的にJMCでの体験が2人に父と別の道を歩ませることになった。しかし、JMC受講を決めたのは父でもあった。
 JMCは2代目経営者のあり方を身につけさせる場である。機械操作やVEなど手法のみを教える講習とは違う。創業者の経営手法以外に時代に即した幅広い選択肢も提供してくれる。また同期生や講師など多くの出会いと様々な体験を通して、視野を広めることができる。これらJMCの特長をよく理解していたからこそ、父は2人をJMCへ送り出したのだろう。そしていま、松下社長の長男もJMC受講を考えている。
 たとえ手法は異なっていても、目標は同じ。会社の成長、発展である。JMCを通して、2代目のあり方を見つけた2人。ただいま社員と一緒に成長すべく、日々邁進中である。
人材育成情報誌『板金大学』2005年11・12月号より
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