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JMC修了生を訪ねて

 
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経営に対する意識改革が生まれ
目指すは差別化されたモノづくり
 
株式会社佐々木製作所 佐々木氏写真
株式会社佐々木製作所
常務取締役
佐々木 義行氏(JMC第82期)
 地元では高度な技術・技能を持つ技能者集団として知られ、品質管理、納期管理において非常に高い評価を得ている佐々木製作所。その技術・技能はとりわけ高精度が要求される防衛関連機器の部品加工によって培われたものだ。
 この高度なモノづくりをする佐々木製作所を社長と共に牽引しているのが、今回登場していただく佐々木義行常務。佐々木常務にJMCの思い出や同社の現状、今後の目指すべき姿などを語っていただいた。
本社 広島県安芸郡海田町月見町3-12
TEL 082-823-5715
創 業 1959(昭和34)年5月
設 立 1970(昭和45)年3月7日
代表者 山口 敏
社員数 13名
事業内容 精密板金、アルミ及びステンレス加工、レーザー加工、NCT加工、ワイヤーカット放電加工
E-mail isasaki@sasaki-sss.co.jp
 

父親の背中を見て、モノづくりの世界へ

 「『蛙の子は蛙』といいましょうか、父親の姿を見て自分もモノづくりにとても興味を覚えるようになっていました」(佐々木常務)
 佐々木常務がモノづくりを天職として決めた背景には、このように幼いころから目にしてきた父親の仕事姿が多分に影響したようだ。そして、その経歴もモノづくり一筋で来ていた。
 地元の工業高校を卒業後、まず入社したのがマツダの協力会社で自動車用部品を製作している地元の大手企業。ここの現場で自動車用シートの製作に8年間携わった。その後父親と共に9年間板金加工を行い、そして今から4年前の2000(平成12)年、叔父である山口敏社長が経営する佐々木製作所に入社することになった。
 しかし、ここで佐々木常務に期待されたものはこれまでのモノづくりだけではなく、山口社長の後継者という役割も含まれていた。親族を跡継ぎにというケースはよくあるものの、これまでモノづくり一筋の佐々木常務にとって、経営者になるということに幾ばくかの不安を抱かないわけにはいかなかった。

後継者として不安なのは、自分だけではない

 「常務はとにかく真面目。ただまだ対外的な経験が少ない。しかしこれからを考えるとモノづくりだけではなく、もっといろいろな所に出かけ、他の人と交流を図り、見聞を広めていかなければなりません。そう考えたときに思いついたのが、アマダさんのJMCでした」(山口社長)
 山口社長は佐々木常務の経験や知識もさることながら、その性格についても厚い信頼を寄せている。信頼が厚いがゆえに期待も大きい。何としても大きく成長してほしい、そのためには地元ばかりでなく各地の同じ立場の人たちと知り合い、大いに刺激を受けてきてもらいたい。こうした山口社長の強い思いから佐々木常務のJMC受講が決まり、2002(平成14)年受講の運びとなった。
 「私はずっと現場の立場で仕事をしてきましたので、後継者として経営を学ぶということは正直不安でいっぱいでした。しかし実際に受講して2代目として同じ立場の人たちに出会え、大いに勇気づけられました。また、講師の先生方のおかげで、『与えられた仕事は絶対にやり遂げなければいけない』という意識改革ができました」(佐々木常務)とJMCの感想を語っている。
 佐々木常務にとってJMCは当初山口社長にいわれて『しぶしぶ…』という面があったことは否めなかった。しかし受講してみると、後継者として不安を持っているのは自分だけではない、皆どこかで同じ不安を持っている。その不安を同期の皆で分かち合い、励ましあいながら成長していく。そのような場がJMCだったと感じている。
 またどちらかというと現場一辺倒であったこれまでの意識もJMC受講後は経営という面も意識するようになったという。これもJMCの影響といえるだろう。
 さて同期との交流は現在も続いていて、先日もアマダの講習会で上京した際に東京の同期と情報交換を兼ねて楽しいひと時を過ごしたそうだ。
 「JMCがなければ東京の同業の後継者と知り合うなんて考えられませんから、いろいろと本当によかったです」(佐々木常務)と笑顔で話していた。
 ところで、JMC受講後の佐々木常務を山口社長はどのように見ているのだろうか。
 「以前に比べて交友関係が広くなったようです。経営についても銀行関係の勉強会に参加するなど、熱心に勉強しようという姿勢が感じられます」と語っている。

『職人技』と新しい技術の融合で、発展を目指す

 同社は、周囲から高度な技術・技能を持ち、グレードの高い仕事を行う熟練技能者の集団として、また品質、納期に信頼の厚い企業として知られる。生産は基本的に全員が多能工として一貫生産の体制を取り、各自が納品まで責任を持っている。特に最近は短納期のニーズが強く、注文が朝で納期が昼という超短納期にも応じる体制を整備しているという。
 こうした取り組みがあればこそ、取引先には同社に持ち込めば何とかしてくれるという安心感を与えている。
 モノづくりの機械化が進展する中でも、機械だけではできない昔ながらの『職人技』の技術があることは紛れもない事実である。同社はそうした『職人技』での勝負を目指す。
 「機械による量産の仕事はどこでもできます。しかし高度な技能が必要な仕事はそうはいきません。私たちがしようとしているのはこうした『職人技』の仕事なのです。量産の仕事は外国に流れ、日本では『職人技』の仕事が見直されてくると思います」(佐々木常務)
 また設備の更新にも熱心で、今年3月には新たにYAGレーザー溶接機を導入した。
 「YAGレーザー溶接機は別にお客様からの要望ではなく、あくまでも私たちの新しい技術をアピールするために導入したのです」(佐々木常務)とするように、設備面からも事業展開の積極的な拡大を図っていこうとする姿勢が見て取れる。

差別化されたモノづくりで、お客様にアピール

 佐々木常務が同社に入社して5年目に入った。この間先輩への接し方や様々な加工知識を学ぶ大変さに悩むこともあったに違いない。しかし、JMCを体験し、後継者としての自覚が強まったことは今後の試練にも大いに役立つと思われる。さてこれからは佐々木常務の片腕の育成も重要となり、そして一緒に同社の発展を目指していく社内システムの構築もまた必要である。
 「私が目指したいのは、他所とは差別化されたモノづくりです。こんな変形したモノ、こんな仕上げのきれいなモノは佐々木製作所に発注しないとまずいとお客様にアピールできる技術、製品をつくっていき、そしてお客様に常に真っ先に思い出していただける会社にしたいと思っています」(佐々木常務)と今後の目標を語ってくれた。
 最後に工場内を案内してもらっているとき、先日のYAGレーザー溶接機の講習会後に佐々木常務自身が手がけた加工品を見せていただきながら、佐々木常務の目指す技術を垣間見ることができた。
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