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導入事例紹介

板金工場で活躍する小型マシン

業界に活気が戻る

板金業界では好調な設備投資需要を背景に「工作機械」「半導体製造装置」「産業用機器」「電子部品・デバイス」「光学・計器」に関連する業界が活発になっています。
また「事業再構築補助金」「サプライチェーン補助金」「ものづくり補助金」「省エネ補助金(エネ合)」など各種補助金事業に採択される企業も増え、業界全体に活気が戻り、設備投資意欲が向上しています。
そんな中で「山椒は小粒でもピリリと辛い」というたとえではありませんが、機械としては省スペース、小型マシンであるにも関わらず、加工範囲や能力、性能、操作性、加工精度に優れたマシンに関心が高まっています。

今回は、省スペース・省エネ型のハンディファイバーレーザ溶接機。高速・高精度な小型ベンディングマシンを導入されたお客さま事例をご紹介します。

プラズマ、TIG溶接のプロが導入を決めた

■導入設備:ハンディファイバーレーザ溶接機

プラズマテック株式会社( 代表取締役社長・金原満憲氏、兵庫県尼崎市)は、もともと先代がスポット溶接を主とする工場として大阪市内で創業し、その後兵庫県伊丹市内に工場を移転しました。
移転先の工場の隣には住宅用設備機器メーカーがあり、そこの味噌汁用自動販売機などに組み込まれる、ステンレスの板厚0.8、1.0、1.2mmのタンクにエルボを溶接する仕事を行うようになりました。

本社工場(兵庫県尼崎市)

▲本社工場(兵庫県尼崎市)

しかし、「つなぐ」だけの仕事はそう多くありませんでした。そこで、前工程の板金加工を手掛けるようになり、パンチプレス、レーザマシン、ベンディングマシンを相次いで導入し、ガスバーナー、熱交換機など溶接条件が厳しい板金製品の仕事を受注していきました
溶接から始まった会社だけに、その後、プラズマ溶接、TIG溶接などの仕事が丁寧だという評判が広がり、様々な業種・業界から仕事を受注するようになりました。

加工材料は鉄が55%、ステンレスが40%、アルミとその他が5%。中心的な板厚は0.5、1.0、1.5、2.3、3.2mmまでの薄板が多いのですが、鉄系は16mm、ステンレスは12mmまでに対応しています。
新たに取り組んだガスバーナーの部材溶接は、少しのひずみでもNGという厳しい品質条件がありました。
溶接技術に長けた作業者が担当しても結果は思わしくなく、従来のプラズマ溶接では課題をクリアーすることが困難でした。

TIG溶接の様子(従来)

▲TIG溶接の様子(従来)

そこで、最新のハンディータイプのファイバーレーザ溶接機の話を聞き、半信半疑で実際の製品を持ってテストに行ったところ、課題であったひずみの発生が抑えられ、また、条件設定も簡単で使い勝手も良いことから、コンパクトなハンディファイバーレーザ溶接機「FLW-600MT」の導入を決めました。
ファイバーレーザ溶接は、材料に対する熱影響が少ないため、焼けやひずみが減り、仕上げ工数も大幅に削減できたことが素晴らしく、また、従来のTIG溶接と比べ、エネルギー密度が高いため、特長的な片面裏波溶接法であるキーホール溶接が簡単にできるようになりました。さらに、深溶け込みによるステンレス板厚3.0mm薄板溶接が低ひずみで溶接することができました。

導入した「FLW-600MT」本体と「L型トーチ」

▲導入した「FLW-600MT」本体と「L型トーチ」

従来同社が得意としてきたプラズマ溶接も熱集中性が良いが、安定した高品質の溶接ができる点においてはファイバーレーザ溶接のほうが使いやすい。
溶接条件の設定も『簡易モード』と『標準モード』から選択でき、『簡易モード』では出力と周波数を選択するだけで条件設定が行えます。これにより、条件管理が可能になり、初心者でもベテランと同レベルの溶接を実現できるようになりました。

レーザ溶接の様子

▲レーザ溶接の様子

曲げ加工の最適化に対応する

■導入設備:電動サーボベンディングマシン

有限会社早野研工(代表取締役社長・早野文仁氏、岐阜県大垣市)は創業以来、車体部品の試作に携わっていましたが、環境変化が著しい中で新しいモノづくりにチャレンジするために板金加工に取り組んでいました。加工設備としてはパンチングマシン、パンチ・レーザ複合マシン、各種ベンディングマシンなどを導入し、高品質・短納期を追求しています。

本社工場(岐阜県大垣市)

▲本社工場(岐阜県大垣市)

同社の売上比率は、建設機械、農業機械、自動車・バス、鉄道 車両などの売上が全体の70%以上を占めます。前期売上は10%の落ち込みとなりましたが、その中で、自社商品の売上比率を10%程度に上げたいとして様々な自社商品を開発、自社のオンラインサイトや量販店などで販売を活発化させています。

業務用空調機器

▲業務用空調機器

この自社商品の生産に対応するために、本社工場、養老工場という2拠点での生産体制を構築。2016年以降、養老工場にはパンチ・レーザ複合マシンとベンディングマシンを、本社工場にはパンチングマシンと小型の電動サーボベンディングマシン「EG-4010」を導入しました。

デュアルサーボプレスを採用した小型のベンディングマシン「EG-4010」は、高い精度と従来機に比べて高レスポンスのため、約2倍の高生産性を実現することができました。特に新型のNC装置は、大型ディスプレイが装備され、スマートフォン感覚で簡単に操作できることができ、未経験者でも使いやすいマシンです。

導入した「EG-4010」

▲導入した「EG-4010」

実際に「EG-4010」の操作はこれまでプログラム作成を行っていた女性社員が2日間の指導を受けただけで曲げ加工を行うことができ、さらに翌日からは自力で作業ができるようになりました。これまで自分が作成した展開データで加工することできるので達成感を得られ、わくわく感”を体感しているといいます。
早野社長は「モノづくりの原点は“わくわく”することです。そして、このマシンは女性が働きやすい環境を整備するには小型で最適のマシンです。」と評価しています。

曲げ作業の様子

▲曲げ作業の様子

記事:マシニスト出版