左
[ 代表取締役 ]
千葉 忠夫 氏

右
[ 工場長 ]
千葉 忠実 氏

この度は「日刊工業新聞社賞」という名誉ある賞をいただきありがとうございます。ご協力いただきました関係者のみな様に感謝いたします。

今回出展させていただいたのは、およそ10年前に試作の依頼をいただき手掛けた医療向けの工業製品です。初めて依頼が来たときは図面を見るなり仕上げることが大変難しいとすぐに分かったので、技術力のあるメーカー様へお願いして作っていただきました。そして1st・2ndと、どんどん要求がハイレベルになり3rdでの仕上がり精度は板金加工の領域を超えるまでになり、ついにはお客さまへお断りをさせていただいたほどの難題でした。お客さまも困り果てて色々とお調べ頂いたようですが、やはり「カタチ」にできるメーカーが現れなかったようです。私は数日間悩み考え、創立者である父に相談したところ、駄目でもともとの考えで背中を押してもらい製品着手に踏み切った思い出深い経緯があります。

製品の作業フローは悩みながらもぶれることなく、お客さまが要求する加工精度±0.03mmを500 mmという長さでキープすることができました。製造工程で一番苦労したのがレーザー加工によるトリミングでした。成形加工ではイメージ通りカタチにできましたが、トリミングは機械頼みが大半で、あとは経験を生かし低出力で素早く切断することを重点に施工しました。

製作をとおし、板金加工のセオリーにこだわらず、柔軟性とユーモアに富んだ発想力を養うことが新しい技術を生み出すことへつながり、そして、その技術が、世の中へ更なる新製品を作り出す原動力となっていくと確信いたしました。

今回出展させて頂いた製品は10年程前に手掛けた製品……つまり10年前の技術が今でも高い評価を受けるに値するという証です。今後も、10年20年先でも受け継がれるような技術の開発や技能を磨き、ものづくりをとおして社会貢献することを目標に、精進していきたいと思います。